電子チラシの裏

無方向の言葉

「時代が追いついた」は「時代に追いつかれた」でもある

前衛的なことをする人を褒め立てる際に、決まって使われる言葉がある。

それは「時代が追いついてない」である。

大衆に理解されない状態を、時代がついてきていないからしょうがないと表現するのだ。

 

そしてそれらが理解されるようになった時、「時代が追いついた」と言い換える。

ようやく大衆が理解できるようになったと。

 

しかし、これは時代が追いついたと言うより、「時代に追いつかれた」と表現した方が正確なのではないだろうか。

大衆が理解できない神秘性があったからこそ、その人の作品生は評価されていた側面がある。

ならば、それは理解されてはならないものだったのではないか。

 

時代に追いつかれれば一時の評価は得られるかも知れないが、その瞬間から陳腐化が始まるのではないか。

 

もちろん、大衆の目にさらされてもなお色あせることのなかった作家も多い。

しかし、そうでなかった作家はもっと多かったのではないだろうか。